【WEB連載】「私のピアサポート!2023.12月号」
「私とピアサポートの出会い」
窪田優美菜/多機能型事業所ソウアライブ/札幌市
私が「ピアサポート」という言葉を初めて知ったのは大学の授業でした。「同じような経験をした者同士の支え合い」というような説明を聞き、単純に「自分の経験が誰かの役に立つなんてすごい!」と思った記憶があります。また社会福祉士、精神保健福祉士になるための勉強をしている最中だったので「専門職には何ができるのか?」という疑問も同時にわいた感覚を覚えています。
私が本格的にピアサポートについて調べ始めたのは大学4年生の卒業論文がきっかけでした。当時は児童福祉分野にも興味があり論文のテーマを迷っていたところ、指導教員からの勧めもありピアサポートをテーマに執筆することに決めました。インタビュー調査を行うためピアデザインさんを訪ね、初めて具体的なピアサポートの活動を知る機会となりました。「当事者でもあり、スタッフでもある」という立場で働くことの葛藤を感じた記憶があります。
学生時代に感じた「専門職には何ができるのか?」という疑問は、今も自問自答しているところです。私が今の時点でピアサポーターと専門職で1番異なると思うところは「共感の質」です。私は利用者さんと面談をするときに、その状況や感情をできる限り想像しながら話を聞いています。私自身が経験をしたことのない生活のしづらさや困難については、状況を想像できるまで利用者さんに教えてもらい、その状況を「一緒に眺めている」ような感覚です。
ピアサポーターの「体験的知識」を活かした共感は、おそらくもう少し相手との距離が近いものであるように感じます。専門職が経験したことのない様々な状況や感情を経験しているピアサポーターもいて、話しやすさを感じる人もいるでしょう。「状況を整理し客観的な視点をもちながら共感ができる専門職」と、「自身の体験を活かして共感ができるピアサポーター」という点で「共感の質」が異なるのかな、と今の時点では考えています。これからも利用者さんのピアサポートの力を借りながら「専門職にできること」を模索していきたいです。